新・血管内皮機能検査

エンドパットを用いたRHIは新しい血管機能指標です

RHIはReactive Hyperemia Index(反応性充血指数)の略です。

エンドパット2000を用いて得られるRHIの値は、「RH-PATスコア」、「PATスコア」、「RH-PAT Index」などと表現される報告もあります。

動脈の生理機能とは、組織が必要とする血液量を動脈拡張してどれだけ供給できるかの能力のことで、主に血管内皮の一酸化窒素(NO)産生能と血管平滑筋の反応性に依存するとされています。

イスラエルItamar Medical社は、NO反応性の動脈拡張(動脈血容積増加)を再現性よく、非侵襲的に、特別な技術習熟なしに測定し、多施設の結果が共有できるよう数値化することを目的にエンドパットを開発しました。

PAT技術とは

Peripheral Arterial Tonometryの略で、末梢動脈の拡張能をトーンとして捉えることを意味します。エンドパット2000のPAT技術には独自の特許技術が採用され、従来の指尖脈波技術とは一味違っています。

PATプローブに送られる適度な空気圧によって静脈血のうっ滞を防いで動脈情報だけを取り出します。取り出す動脈の信号は、加圧によって大きなS/N比となり、精度の高い動脈血管情報が得られます。また、両手指を使って交感神経系の影響を除き、動脈の反応性拡張能だけを取り出します。

 

RHI (RH-PATスコア)の評価

エンドパットを用いたRHI (RH-PATスコア)の妥当性はアメリカを始めとして世界各国で検証されています。血管内皮機能を数値化したRH-PATスコアは、従来の標準とされてきたフラミンガム・リスク・スコア(FRS)によるリスク予測精度を引き上げる独立の因子として検証されています。

“Assessment of endothelial function by non-invasive peripheral arterial tonometry predicts late cardiovascular adverse events,“  European Heart Journal Advance Access published February 24, 2010

European Heart Journal 2010に発表されたメイヨークリニックRubinstein, Lermanらの報告では、329例の通院患者(*)のうち7年間のモニタリングができた270例を対象に、RHI を自然対数化(L_RHI)して、有害事象(心臓死、心筋梗塞、血管再建術、複合有害事象等の発症又は入院)のリスク予測性を検討しています。

(*1999-2007に胸痛を主訴として来院した狭窄のない/負荷試験で低リスクと判定された患者)

・ L_RHI<0.4のグループでは3.9%(5人)に心臓死が起きているが、L_RHI≧0.4グループからは1例も起きていない。心臓死リスクの予測という点ではデータ数は不十分ながらL_RHIは有意な予測因子である可能性がある。

・ 心筋梗塞、血管再建、脳卒中に関してはハザード比(HR)(95%IC)がいずれも1.0を超えていることから、データ数は少ないもののL_RHIが有意の予測性を持つ可能性がある。

・ 心血管疾患を原因とする入院患者は、L_RHI<0.4グループから48%(40人)であるのに対し、L_RHI≧0.4グループからは18.7%(26人)しかなく、L_RHIは心血管疾患による入院リスクの有意の予測因子となっている(P=0.018、HR=2.06)。

・ 複合有害事象でみると、L_RHI高リスクグループでは48%(62例)、低リスクグループでは28%(39例)であり、L_RHIで予測できることが検証されている。

 

 

 

 

“Non-invasive Identification of Patients with Early Coronary Atherosclerosis by Assessment of Digital Reactive Hyperemia”

Journal of American College of Cardiology Vol44, 2004

 

 

フラミンガム研究コホート1,957名を対象にした研究。FRSとRHIは相関し、RHIをFRSリスク評価に加えると、従来低リスクとされた患者の中からハイリスク患者を抽出できる。

この他、世界中で130報以上のエンドパットを使った臨床研究が報告され、現在もコホート研究などが行われています。

 

“Endothelial Function and Coronary Disease in Woman” JACC Vol.55, No.16, 2010

RH-PAT検査 により冠動脈機能障害をもつNOCADを検出できる。

冠動脈攣縮:ACh負荷により攣縮が観察されたもの:32例

微小血管攣縮:ACh負荷で攣縮は観察されないが、冠血流量の低下したもの:6例

微小循環不全:ACh負荷で攣縮はないが、冠血流予備能/心筋シンチ異常のあったもの:4例

虚血性心疾患患者(閉塞性、非閉塞性合計)については、RH-PATスコアのカットオフ値を1.82とした時、AUC 0.86、P<0.001、感度80%、特異度80%で狭心症を同定できる。

器質的な虚血性心疾患患者だけを見ると、AUC0.66、P<0.001と、ROC解析上は有意に器質的冠動脈疾患を同定できることが示されている。

冠動脈に器質的な狭窄病変を持つ人を除外して(非閉塞性疾患患者に絞って)、カットオフ値を1.82とした時には、AUC 0.85、P<0.001、感度81%、特異度80%でもって狭心症を同定できる。

NOCAD、CSAの検索に有用です

NOCAD:非閉塞性冠動脈疾患

CSA:冠攣縮性狭心症

 
 
 
NOCAD/CSAの外来スクリーニングに・生活習慣改善のモニタリングに

静かで落ち着いた環境で、両手指にPATプローブをとりつけ、あとはマニュアルに従って片腕を駆血・開放するだけで自動解析したRH-PATスコア(反応性充血指数)が算出されます。特別な技術習熟は必要なく、どなたが検査しても信頼できる値が得られます。測定時間は15分ですが、準備時間を入れても30分程度です。
 

エンドパット2000利用 外来での RH-PAT 検査導入後の診断フロー